眼科医 吉野健一ブログ相談室

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最強度近視にはオルソケラトロジーではなくフェイキックIOL(ICL)を!

●●●●様:
以下@でお答えします。

▼送信内容
お名前 = ●●●●
都道府県 = 埼玉県●●市
email = ●●●●@hotmail.com
性別 = 女性30代半ば
内容 = はじめまして。
10歳で近視の眼鏡をかけ始めて25年になります。
右S-10.00 左S-11.00 少々乱視もあります。
HCLを使用し、15年以上になります。アレルギー、ドライアイのため、CL使用がつらい時期もあります。眼鏡も併用していますが、近年、近視の進行が1年間でS-1.00ありました。


1年半まえからオルソケラトロジー(オサート)を施行しています。ただいま3段階目のレンズ使用中です。オサートレンズをはずすと、現在S-4.00ほどですが、乱視が強く出ており(特に右目)、オサートOFF時の視力矯正が出来ていません。
(眼鏡、SCLでの矯正は1時間経つともう見づらくなります。)
視力矯正しても、実質0.5くらいの見え方です。
3時間くらいで0.1ほどになっているような気がします。
車の運転は出来ません。
仕事中、手元のキーボードは見えますが、デスクトップのパソコン画面が見えません。
レーシックは、角膜が薄いので出来ないと眼科で言われました。ドライアイも少しあります。仕事上、パソコンの画面を見る時間が長いです。(6時間以上)
オサートに限界を感じ、現在フェイキックIOLに関心を持っております。

上記のような状態の私にも、施術可能なのでしょうか。施術後視力の変動はあるのでしょうか。
どうぞ、よろしくお願い致します。


@まず、あなたのようなケースの方こそフェイキックIOLの最もよい適応です。
オサートという、-10D以上の高度近視に対し、数回に分けてオルソKを行う方法は、
まず、
◆ 眼科専門医でない他科のドクターが施術者であり(おそらく)危険であること。
◆ 満足する効果が極めて得にくいこと。
◆ 角膜に対するリスクが極めて高いこと。
◆ 結果出るまで相当期間を要すること(通常結果は不良なので、あなたのように諦めるまでの期間といっても良いかもしれません)。
◆ かけた手間とコストが効果に見合わないこと(コストパーフォーマンスが悪い)。
を理由に絶対にお勧めできません。


私は日本眼科学会、日本コンタクトレンズ学会が発布した「オルソケラトロジーガイドライン」の作成に当たり、臨床試験施設委員会の委員長を務めておりましたが、オルソKのガイドライン上の適応は-4.00D以下となっています。世界のトレンドをみても、効果と安全性の観点から、-5.0D以下、どんなに頑張っても-6.00D以下となっています。


実際、オサートを行って不具合(効果不十分、角膜びらん、角膜潰瘍感染症)が生じた患者さんが、少なからず当院を受診しております。極力おやめになった方がよいと思いますし、もし、お知り合いでオサートを行っている方で強度近視の方がいらっしゃったら注意を喚起して差し上げてください。


それに比べフェイキックIOLは、既に1社は日本の厚生労働省の認可を受けていますし、オサートと異なり術後早期に視力の回復が得られ、その予測性も極めて高くなっています。ただし、眼内にレンズを入れるということに生理的な嫌悪感を感じるとか、コストが高いといった問題で、敬遠なさる方もいらっしゃいます。しかし、術後の満足度は極めて高いことは間違いありません。


2日前(H24.4.19.)にTV東京で放送された(BSジャパンではこれから放映:4月21日(土)夜9時24分〜)、フェイキックIOLを当院で受けた方の感謝の手紙を朗読した番組〜Letters〜のHPがアップされました。ご興味があればそちらもご覧ください。
テレビ東京「Letters〜感謝の手紙〜」

https://www.yoshino-eye-clinic.com/video/video.html


吉野拝