眼科医 吉野健一ブログ相談室

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●●●●様:お返事おくれすいません.既に問題は解決しているかも知れませんね.以下,@でお答えいたします


>こんにちは。 初めて メール致します。私は以前から レーシックに大変興味があり、是非 手術を受けてみたいと考えております。ですが 正直に申し上げると、実は レーシックとイントラレーシック、どちらを受けようか 悩んでいる段階なのです。イントラレーシックは 様々な点でレーシックを上回る成果を挙げられるという事で 大変魅力的ではあるのですが、私個人で調べたところによると 最新機器故に 医学的データもまだ少なく、世界的な学会等でもレーシックのように『ほぼ安全である』とは言い難いという見解に 留まっている段階だと、他の文献で 目に致しました。 日本においても 時期尚早とする眼科医の先生方が 大半であり、先生も そのお一人であると伺っています。やはり 安全第一であるという事が 最低条件だとは思いますが、一度 先生の御意見を 直接に詳しくお聞かせ願えればと思い、メール致しました。


@正直申しまして自分でイントラレーシックを自ら使用してその評価に確信を持っているわけではないので,私にはフェアな立場からコメントすることはできません.そんな私でも少なくともいえることは,イントラレーシックでも失敗はあると聞いていますし(その施設に出入りしているレーザーのテクニシャンから直接聞いた話として),確かにマイクロケラトームでの失敗例もあります.どちらがそのリスクが高いかは不明です.しかし,私は現在当院で使用している使い捨てのマイクロケラトームは非常に調子が良いものとの実感があり,高額の費用を投資してイントラレーシックを導入し現行のマイクロケラトームを換える必要性に駆られていません.眼科学会でのイントラレーシックの評価は実際確立していないので当院での導入は視野にありませんし,導入している施設もその新奇性を謳い文句にした宣伝効果を狙っている感もあります.また,マイクロケラトームの使用経験から難しい症例や,やってはいけない症例などは一通り手術前に見抜くことが可能という自負も私にはあるためイントラレーシックに魅力を感じてはいません.

レーシックセンターURL: http://www.tokyo-lasik-center.com
吉野眼科クリニックURL: http://www.yoshino-eye-clinic.com




> また もう一つ質問なのですが、知人と レーシックの話をしていた時に『レーシックは〔手術施行数十年後の結果〕というのがまだあまり出ていないから、手術直後は良いとしても 将来問題が生じる危険性もあるのではないか』と言われたのですが、本当なのでしょうか?これは レーシック・イントラレーシックに関わらず 生涯に渡る危険性が付きまとうものなのですか?


@レーシックの歴史はほぼ15年です.その間に生じた合併症は出そろった感があります.「こんな知らなかった=新たな合併症があるんだ!!」なんてことはもはやありません.確立された手術といってよい時期に来ていると思いますし,学会でもレーシックのセッションはもう,ネタが尽きた感があります.しかし,20年,30年,40年後のレーシック術後眼を診た医者は世の中に一人もいないわけで,そういった厳密な意味での長期的な安全性は誰も知らないわけです.それを知らなければ手術は不安で受けられないという方は受けるのを止めるしか現実的な対処はないと思います.ちなみに私は実の妹にレーシックを自ら施行しています.しかし,妻は怖がって受けていません.手術が怖いのではなく妻から見た私が信用できないのかもしれません(冗談ですよ!).最後=究極は,患者さんの自己責任ということになります.ですから患者さんの立場でできることは少なくとも信頼のできる眼科医をみつけることでしょう.


>長々とした文章になってしまい 申し訳ありません。 お忙しいことと思いますが、どうぞ よろしくお願い致します。●●●●