眼科医 吉野健一ブログ相談室

眼科医 吉野健一 眼科のお悩みお聞きします

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●●●●様:御返事遅れすいませんでした.以下@でお答えします.


>> お名前 = ●●●●
>> 都道府県 = 神奈川県
>> 主なご住所 = 藤沢市
>> email = ●●●●●●●●
>> 性別 = 男性
>> 年代1 = 30代半ば
>> 内容 = 突然のメールにて失礼致します。小職は両円錐角膜を中学生の時発症し、その際ビギーバックにチャレンジしましたが、長時間の装用が出来ず、眼鏡使用に切り替えておりましたが、ここ数年にて左眼の視力が落ち、日常生活や仕事にも支障を来した為、4月16日他院にて角膜移植手術(PKP)を受けたものです。しかし術後に縫合糸感染を起こし、抗MRSA薬や抗真菌薬の点眼にて軽快したのですが、縫合糸の緩みの出現と共に眼痛+の為、SCL装用にて様子を見ていた次第です。元来アトピー性皮膚炎がある為、眼瞼圧が強くSCLがすぐ外れるようになりました。術後未だ日も浅く連続縫合の為、抜糸はためらわれた為、緩んだ糸の締め上げ(切れた部位に糸追加)を7月23日に行い、SCL装用にて再度経過を見ていましたが、再び上方及び下方に縫合糸の緩みを生じた為、SCLが外れがちになり、眼痛が以前より+の為、最近はSCLを外しています(市販されているSCLの殆どはチャレンジしましたがNGでした)今後の治療方針として主治医からは?部分抜糸 ?SCLの代用として羊膜移植 ?再度締め上げあるい(文字化けです→ku椈@・・・ぢ档X隋´げ燭箸・・喘侭ぢ←文字化けです)装用をし保存的治療等の選択肢が示されました。上方には浸潤 NV進入が進行し感染のリスクもある為、主治医からは抜糸が望ましいのでは?と言われましたが・・・せっかく再縫合したのに、移植後4ヶ月で抜糸をするのが果たしてベストチョイスなのか?疑問な為メールする次第です。お忙しい中大変申し訳ありませんが宜しくお願い申し上げます。


@高度な対応策を提示していることから,手術は東京歯科大学市川総合病院で行ったのではありませんか?確かに,縫合糸の緩みは感染の原因になりますし,どちらにしても将来的にはいずれ抜糸することになるでしょうから,現時点での抜糸そのものが移植片の生着に支障をきたさないのであれば行っても良いのではないでしょうか?その後に近視,乱視が出るようであれば,可能な範囲内で屈折矯正手術(LASIK)を行う場合もあります.これにおり,コンタクトレンズの装用から開放されます.
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吉野眼科クリニック 吉野健一
〒110-0005東京都台東区上野1-20-10風月堂本社ビル6階
TEL:03-3839-5092, FAX:03-3832-3730
レーシックセンターURL: http://www.tokyo-lasik-center.com/
吉野眼科クリニックURL: http://www.yoshino-eye-clinic.com
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Kenichi Yoshino, M.D.
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●●様:以下@でお答えします.


Subject: 吉野眼科〈吉野院長様〉ご返信ありがとうございました. 
吉野眼科 吉野健一院長様
●●●●です。お忙しい中ご返信賜り大変ありがとうございました。ご丁寧なメールを頂戴し、厚く御礼申し上げます。さて厚かましくも再度、長文のご質問のメールを送らせせて頂くことお許しください。前回 文字化けが有り、理解しづらい文面になりましたこと大変申し訳ありませんでした。(以下小職の概要と詳細経過です)
【概要】小職 先般のメールでもご連絡した通り、自宅は神奈川県●●市に在住で仕事先は東京都●●区内に勤めております。現在の主治医は知り合いのつてで、●●県に在る●●●●病院 ●●長兼眼科●●長兼●●●●長であられるDr●●(前●●●●●●●●)です。


@●●先生は良く知っています.立派な先生だと思います.この世界は狭く特に角膜を専門にする眼科医のネットワークは強固です.


角膜移植(PKP)も●●●●病院で実施いたしました。※移植片はアイバンクの待機順番が比較的早かった国内の●●県アイバンクからの提供戴いたものです。但し移植後の通院は病院が遠隔地の関係で月1回のペースで●●まで通院していた状況です。※緊急時の場合はいつでも東京で受診できるように紹介状を常に携帯していました。その為 術後感染症の際、勤務先の近くでは●●●●眼科医長Dr●●(前●●●●)自宅近くでは、●●●●眼科Dr●●(前●●●●●●●●)上記2名のDrにフォロー戴いていました。


@これまた,Dr●●は慶應病院で小生の同期です.次の学会では共同演者で発表します.Dr●●は感染症に詳しい方でお互いよく存じ上げています.両先生とも立派な先生です.


【詳細経過】先日の吉野先生へ差し上げたメール後、セカンドオピニオン目的で●●●●大学眼科学教室のDr●●講師の外来を受診した所コンタクトと羊膜移植はNG、再縫合も縫合糸の弛みを再び起こす恐れがあり、縫合糸の感染が無いのを確認した上で全抜糸した方が良いとの意見を頂戴しました。


@私も同意見です.


そこで眼瞼、睫毛、眼周囲の皮膚より培養検査をし、且つ自家調剤したバンコマイシンの眼軟膏を塗布し1週間使用しました。但し●●ではVREの出現を恐れ、バンコマイシンよりフラビタン眼軟膏に一週間後に切り替えた所、眼軟膏による薬剤性角膜炎が原因にて角膜に傷が付いた為、抜糸術を中止し経過観察していた所、移植した角膜片から拒絶反応と思われる症状(移植片がほぼ全面白濁)が出現した為下記治療にて対応中です。


@フラビタン眼軟膏の薬剤アレルギーも珍しいですが,そういうこともあるのですね?


《点眼》(コリマイC) ×4回
(眼科用りんデロン液) 日中 1時間おき AM6〜PM10 まで
(タリビット眼軟膏) ×2回
《内服》リンデロン錠 0・5 朝4錠 昼2錠
セフゾンCap 100mg ×分3
ダイアモックス錠 250mg 朝0・5錠 夕 0・5錠
【ご質問】現在の主治医からは拒絶反応がステロイドを使用しても収まらなかった場合は、今の移植片を諦めて再度角膜移植をした方が良いとのことですが本当にこのまま今の移植片は正着せず使用不可になってしまうのでしょうか?


@それは,ケースバイケースなので何ともいえませんが,そのようになる可能性もあります.


また主治医の話しでは、拒絶反応が出やすく危険なのは移植後3ヶ月〜半年〜1年くらいの間が一番危険ということだということは説明を受けていたのですが、今になって考えると糸の弛みは拒絶反応の前触れではなかったかと思うのは早計でしょうか?


@糸の緩みが原因で感染症または炎症を惹起→拒絶反応という構図は十分考えられますが,糸の緩みが拒絶反応の前触れということはないと思います.糸の緩みは角膜移植後に良くある現象です.


果たして今回の小職のように、スタンダードな経過では無いのは重々承知していますし、決して主治医が手を抜いているとも考えにくいのですがまた角膜移植を再度受けるとなると、現在は会社を休職中の為移植の費用や入院費のことを考えると不安でなりません。こういう場合、なかなか一度の説明では、事実を噛み砕きにくく費用等のことを考えると再移植に踏み切るのに躊躇してしまいます。


@拒絶反応が強く出た場合には,ある段階をもってして再移植を行わざるを得ないと思います.さもないと最悪のケースでは,角膜だけでなく眼内にも障害を起こし,ものを見るという視機能のポテンシャルまで冒されることもありえます.


やはり再移植になった場合の入院治療費等は健康保険(組合管掌)の3割の自己負担はいた仕方ないのでしょうか?


@残念ながら仕方ないと思います.個人でお入りになっている保険への請求や,納税時の高額医療に対する医療費控除などで対処するしかありません.


また医学的に良くあることとして捕らえるべきなのでしょうか?


@良くあるかどうかは別として,このようなことは十分に起こり得る合併症で,術前にもご説明を受けたのではないでしょうか?


お忙しい所 度々申し訳ありませんが、ご返信賜れれば幸いです。以上 宜しくお願い申し上げます。●●拝