眼科医 吉野健一ブログ相談室

眼科医 吉野健一 眼科のお悩みお聞きします

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●●●●様:以下@でお答えいたします。


LASIK手術を他院で受けたのですが、視力表上の裸眼視力は0.06から1.2程度に上がりましたが、眼の痛み、違和感、不快感があり、近くが見えづらくなり、見え方の質が低下し、光の拡散があり、飛蚊症があり、白目が赤くなり、ドライアイもひどくなり、これらの症状が非常に苦痛で、不満です。お手数お掛けいたしますがこれらの症状に対するセカンドオピニオンをお願い致します。また、院長先生にこれらの症状を実際に診ていただくことはできますでしょうか?あと、院長先生は現在も眼鏡を使用されているようですがなぜですか?差し支えなければ、併せてお答えいただければと思います。


@お辛い状況が推察されます.1.2見えていることより視力は一見(検査上は)良好ですが,視力表の数値のみで患者さんが満足するものではないことは私も重々承知しております(1.2出ているから良いでしょう.ということはありません).年齢にもよりますが,過矯正(遠視気味)になっているということは無いでしょうか?比較的稀ですが,当院でも過矯正になった患者様に対してはCLAPICSというコンタクトレンズを用いた遠視を治す方法をまず試し,その上で無効な場合には遠視矯正の追加矯正手術を行うことがあります.●●●●さんの症状の多くは過矯正に起因するのではないかと推察しますが如何でしょうか?見え方の質に関しては,wave-front LASIKやAspheric LASIK等の方法がB&Lのエキシマレーザーにはあり,術後の高次収差をできる限り減らす機能があるにはあります.光の拡散については,暗所での瞳孔径の大きさに対しレーザーの照射径が小さい場合に光の拡散=いわゆるグレアが問題となることがあります.いずれにしても,優秀な先生ですのでしっかり悩みを打ち明けて相談に乗っていただいたらどうでしょうか?唯一私が思う●●●●さんに不利な状況は,●●から東京まで出てきて手術を受けるたことにより,術後のフォローが物理的,時間的に困難であるということです.私のブログhttp://d.hatena.ne.jp/yoshino8dr/)にもありますように,長崎からの患者さんの手術を私はお断りしています(それでもと患者さんにお願いされた場合は稀に例外もありますが...).もう一つ,これは私の勝手な考えですが,もし,●●●●さんへの術前の説明(インフォームドコンセント)が完璧であったとして,今回と同じような結果が生じた場合,●●●●さんはその結果に納得することができたのでしょうか?●●さんの現在の結果は,もちろんご不満であることに違いないでしょうが,術前の説明の内容が不完全なものであったから不満をもったということではないと思うのです.不満の程度は違ってくるのかも知れませんが,術前の説明がたとえ完璧であっても今と同じ結果であれば今と変わらず同じような不満をお持ちになるのではないですか?逆に術前の説明がお粗末でも結果が良好なら不満は持たないはずですよね?つまりこう考えると,これからの●●さんの現実的な対応としては,術前の説明不足を不満に思い後悔するよりは,容易なことではないでしょうが,起きたことは受け入れて今後如何に少しでもこの不具合を改善する手段があるか,ということにエネルギーを費やすべきだと思うのですが如何でしょうか?LASIKには●●さんのような術後の不具合に悩む方は多くはないまでも確かにいらっしゃいます.しかし,9割以上(もっとかも知れません)の方は非常に満足し,人生が変わったという方も大勢いらっしゃいます.この9割以上も満足している人がいるということを根拠に,だから良い手術だということを言いたいのではありません.残りの1割の不具合の起きた患者さん一個人にとっては100%の確率で不具合が生じたのですから.うまくいった9割の人にとってはレーシックは良い手術ですし,不具合が起きた1割の患者さんにとってはレーシックは悪い手術ということになるのでしょう.これは私の甘えですが,一方では,程度問題かも知れませんが不具合が起きた患者さんでも「先生にやってもらったんだから文句は言いません」とおっしゃるおおらかな患者さんも実際いらっしゃいます.私はご指摘のように今現在も眼鏡ですが,これはレーシックが危険だから手術を受けないというのではなく,現在47歳で,もう既に老眼が出始めています.しかし,私の近視の度数は−3〜−3.5で眼鏡を外すと丁度30cm前後にピントが合う眼で,老眼鏡をかけないですむ便利な(眼鏡を外せば近くが見える)度数なのです.仕事柄,近見での作業になる外来小手術を行うことがありますが,そんな時には眼鏡を額にずりあげれば一々老眼鏡をかけ直さなくても近くがよく見える便利な近視なのです.プライベートではテニスをガンガンやりますので眼鏡は邪魔ですし,裸眼で遠くが見たいという欲求もあります.しかしテニスをする時だけ1DAYディスポコンタクトレンズをするのは私にとって苦痛ではないし,仕事柄レンズもただ同然で入手できるので手術を受けることに左程魅力を感じていないというのが現実です.しかし,やはりテニスを考えるとレーシックも魅力です.また眼鏡を外した時の方が女性にもてるみたいですし.実際手術を受けたらもっとすばらしい生活が待っているのかも知れません.私がレーシックの導入をお手伝いして顧問をしている眼科医のレーシック手術を先月に執刀しました.彼は私と同年代ですが,やや低矯正の結果(裸眼視力0.9,不便なら追加矯正を希望するかもと言っています.運転の時だけ眼鏡掛けようかなと言っています)で満足しています.しかし,もう一つ私がレーシックを受けることを許容できない理由は,角膜にメスを入れることの生理的な嫌悪感(気持ち悪い)です(医学的な危険に対してではない).自分が行っている手術なので,その安全性やリスクについては知り尽くしています.条件を満たして手技に間違いさえ無ければ必ずしも危険な手術ではありませんが,それでも生理的に嫌悪感があるというのは,これまた別問題です.大して痛いわけでもない注射が嫌いというのと同じです.理屈ではありません.レーシックを行っている眼科医で不具合を故意に生じさせようと思って手術を行う医者は一人もいないと思います(もしかしたら,不誠実だったり注意を怠る医者はいるかも知れませんが).何故なら不具合が生じればその対応に時間と労力を費やさねばならないからです.基本的に医者は,人をハッピーにしたいという欲求が基本にあり,不幸にしたいと思っている医者はいないはずです.少なくとも私はそう信じたいしそうでありたいと思っています.金儲けには誰でも興味があるでしょうが,医者の場合のそれは患者さんをハッピーにしてさしあげた結果であって目的であるべきではないと私は考えます.主治医が不誠実に見放すような態度を取ったというなら話は別ですが,私が思う賢い患者さんの対応としては,そのような結果になったことで主治医に恨みをもつというよりは,「信頼をもって私のかけがえのない眼を委ね,そして今も信頼している主治医であるあなたに,面倒なことになってしまったけれど,何とか今の不具合な状態を少しでも良い方向に導いてほしい」と,患者さんも誠実に本気に信頼をもってお願いすることではないでしょうか?医者も人間ですから「訴えてやる」といった態度で迫られたら身を硬くして防御一辺倒になり,患者さんの不具合に対処するというよりは自分を守る方向に労力を使うようになるでしょう.また,そうなると結果として患者さんは患者さんで行き場を失うだけではないでしょうか?正当に(理不尽ではない)情に訴えかけるというのも患者さんの医者にかかるための知恵だと思いますが如何でしょう?医者の機嫌を取れというのではありません.すべて患者さん自身のためにです.それでも駄目ならその後は気が済むまで何でもすれば良いのです.しかし,それはいつでも可能です.今すべきことはそれではないように私は思います.
PS:長くなりましたが,他のブログにも書いていますが,当院は他院でのレーッシック術後の不具合の患者さんの診察はお受けしておりません.お力になれず大変申し訳ないのですが他ブログ内に書いた内容がその理由です.ご参照ください.何とか解決できたらいいですね.頑張ってください!!吉野眼科クリニック 吉野健一
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