眼科医 吉野健一ブログ相談室

眼科医 吉野健一 眼科のお悩みお聞きします

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●●●●様:お返事おくれすいません.以下,@でお答えいたします.


都道府県 = 茨城県つくば市
性別 = 男性
年代1 = 30代 前半
内容 =吉野先生:茨城県内に住む●●と申します。診療所で医師をしています。HPで先生のことを知り、ご相談したく、メールいたしました。もともとメガネを着用しており、他院でイントラレーシックを行いましたが、対応に大きく不満がありました。術前 右 S-2.00 C2.50/ 左 S-2.00 C1.75 角膜厚 580μm//術後 右 S+0.25 C0.75/ 左 S 0 C0.25 乱視軸変わらず(optical zone 6.0mm transit zone 9mm と言われています。)右目で0.6程度の視力で現在もメガネを必要とします。


@術後3ヶ月以上経っているのであればほぼ術後の度数は大きく変化しないものと思われます.それを前提として右目で0.6程度の視力ということは,これは残存した乱視が原因と思われます.これは追加矯正手術にて改善する可能性があります.ただし,この視力不良の原因がフラップ作成時のトラブルによる不正乱視が原因の場合にはその限りではありません.


また、夜間の見え方に関してもハロ・グレアがでており、改善の様子もなく、夜間の運転は非常に疲れます。瞳孔径が拡大するほど、縦方向に光源が滲むことから高次収差(コマ収差でしょうか)があるようです。ハロに関しては術前と比して、体感的に光の領域が面積では4倍程度となっており、見えづらさの原因となっているようです。術前の検査では瞳孔径6mm弱と言われましたが、その後瞳孔径は6.5mm以上あると言われました。「これくらいの差はあって当然。問題にはならない。」という態度に不満を覚えた次第です。


@確かにその対応には納得いかないでしょう.問題にならないかどうかは医師が決めるのではなく患者さん本人がどう感じるかですよねぇ〜〜〜.さて,現在のハログレアが,コマ収差(3次)によるものか,単なる残存乱視(2次=低次)によるものか、4次の高次収差(球面)によるものか,またはその複合かは,データをみてみないと分かりません.しかし,照射径が小さかったことがもっとも考えられる原因ではないでしょうか.


質問1 吉野先生に再手術していただくことは可能でしょうか?


@基本的には当院のポリシーとして他院で行った術後のトラブル症例はお受けしないことにしています.その理由は,再手術は最初の手術に比べ患者さんの満足度が得られにくいこと.その結果患者さんは最初のドクターを恨むよりも後で対処したセカンドドクターを恨む傾向にあること.といった苦い経験をした覚えがあります.もちろん自身で生じさせたトラブルに対しては全力で対応しますが....また,当院は個人開業医ですので、ご不満を持った患者さんが最終的に訴訟という手段をとった場合、あまりにも負担が大きくのしかかるといった経営母体の問題もあります.


質問1が可能であったとして、
質問2 アスフェリック、ウェーブフロント、照射範囲の拡大などの使用により、高次収差、ハロ・グレアは改善するのでしょうか。また改善するとして、どれくらいの改善が見込めますでしょうか。


@照射径の小ささ、または照射中心ずれを改善する再手術は,なかなか困難が予想されます.何故なら,照射が行われていない当初の切除面の周辺を不正な形を残すこと無く拡げてレーザーを照射するための,角膜の形状を認識するデバイスが無いからです.もう少し具体的に言いますと,ウェーブフロントの技術は角膜の局所的で急峻な変化を同定することができず、ましてそれをレーザー照射に繁栄することは困難であるということです.これに対処するためには,ウェーブフロントではなくトポリンクシステムによる角膜カーブの検出とそれによるレーザー照射が理論的にはまだましということになります.しかしそのシステムを当院は採用していませんし,また,この方法を用いても,どの程度の改善がみられるかはなかなか予想できないようです.その前に、縮瞳剤の使用は試してみましたでしょうか?


質問3 イントラレーシックを受けていますが、再手術の際フラップ持ち上げにはケラトームを使用するのでしょうか。


@ということは,●●●●クリニック、●●●●クリニック、または●●眼科でお受けになったのですね?術後の期間にもよりますが、1年以内であれば元のフラップを再び開けることは容易です.


質問4 おかしく思われるかもしれませんが、再度-1.00〜-1.50程度の近視化させることはできますでしょうか。メガネがない状態で日常生活ができる程度の視力(両目で0.6程度)で、仕事中にはメガネを着用するような形が望ましいのですが。(趣味の部分においてより近くが見えないと困るため) この際、再度近視化させることによる手術上の問題点(精度が落ちる、ハロ・グレアが現在よりも明らかに悪くなるなど)がありますでしょうか。メガネが必要となることに関しては、構わないと考えています。長くなりましたが、お答え願えれば幸いと存じます。何卒よろしくお願いします。


@残存角膜の厚さがクリアできれば近視化させることは可能です.もっとも近視化させるためには残存角膜厚が厚い中間周辺部を切除しますのでまず問題ないと思いますが.....しかし,問題はあくまで元々のレーザー照射径が小さかったということです.これを拡げ,更に近視化させるために遠視に対するレーシックを行うのは非常に複雑な行程を有するのではないかと予想します.吉野眼科クリニック 吉野健一
〒110-0005東京都台東区上野1-20-10風月堂本社ビル6階
TEL:03-3839-5092,FAX:03-3832-3730
レーシックセンターURL: http://www.tokyo-lasik-center.com
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